たった7日間で恋人になる方法

『あの…ごめんね…私がもっと早く来てあげれば……ッ』

不意に伸びてきた腕が、私の手首をつかみ、強い力で引っ張られると、拓真君の胸に引き寄せられる。

『た…拓真君?』

ぎゅと抱きしめられて、心拍数が大きく跳ね上がる。

『…萌』

突然の出来事で、自分よりいくらも高い身長の拓真君の腕の中で、身じろぎ一つ出来ず、どうしたらいいのか困惑する。

『…ゴメン、少しだけ…このままで』

昨日よりももっと近い場所から、拓真君の苦しそうな声が聞こえた。

…怖かったのかもしれない。

一昨日、11階で牧村さんに肩を抱かれた時みたいに、きっと拓真君だって、好きでもない、しかも女性にこんな風にされて、絶対に嫌だったに違いない。

抱きしめられて寄せた耳が、ちょうど拓真君の胸の位置にあたり、そこから直接伝わってくる心臓の鼓動。

バクバクと大きく、波を打ってる。

いつしか、自分の中で言い表せない感情が込み上げてきて、その不可思議な感情に動かされるように、自然に手が動く。

体格の差で、すべてを包み込めないけれど、ゆっくりと震えながらも拓真君の背中に手をまわし、ワイシャツの一部をギュッと掴むと、そっと抱きしめた。
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