たった7日間で恋人になる方法
カシャッ
『!!』
突如暗い室内に、小さな電子音とフラッシュがたかれ、思わず閉じていた目を見開いて、その音がした方向を見れば、部屋の入り口で、スマホを片手に拓真君が立っていた。
『コレ、完全なるセクハラ行為だよな』
廊下の明かりで逆光になり、表情はハッキリ見えないけれど、その声音には静なる怒りが含まれているようだった。
『お前……』
一瞬、気の緩んだ牧村さんの手中から抜け出し、拓真君の左腕に飛び込んだ。
『…ごめん、遅くなった』
片手で抱きとめてくれる拓真君に、小さな声で囁かれ、触れた胸から書庫で抱きしめられた時と同様に波打つ心臓の鼓動が聞こえ、その音に安堵する。
『おいおい、ちょっと待てよ、この程度のことで、そう騒ぎ立てるものじゃないだろ』
『それはお互いが合意の上ならって話だ、萌……森野さんはそうじゃない』
『どうしてお前にそれがわかる?彼女だってもう子供じゃない、たかがキスぐらいで…そうだろう?森野さん』
『……』
”たかがキス…”
バーチャルな世界では経験済みだけれど、現実世界ではまだ未経験なソレ(キス)は、正直なところ、”たかが…”というものなのかどうかすら、わからない。
”好きな人としか”…なんて、こんな考えは子供じみているのだろうか。
唇を噛みしめ、拓真君の腕を掴む手に力が入ってしまう。