たった7日間で恋人になる方法
『…ったく、しかも未遂でセクハラとか言われたんじゃ、溜まったもんじゃない』
『おい、いい加減に…』
『拓真君、もういいから…』

牧村さんに吐き捨てるように言われ、つい怒りを露わに向かっていこうとする、拓真君の腕を抑える。

『…拓真?』

不意に、何かに気が付いたような、牧村さんの訝しがる声が聞こえてきた。

牧村さんはこの期に及んで、言い訳でも謝罪でもなく、何故か私の口にした名前を繰り返しつぶやく。

『拓真って…今、そう言ったか?』

拓真君は小さく息を吐くと、眼鏡のフレームを右手の中指でクイと押し上げ、私を後ろ手に廻し、牧村さんの正面に向き直る。

こころなしか、周りの空気が変わった気がした。

『…相変わらず変わらないな、その悪趣味は』
『何?』

それは、聞いたことの無いような冷ややかな声で、目上の人間に対して、明らかに礼儀を欠いた口調。

訝し気に拓真君を見据える牧村さんに全く動じることなく、更に相手を蔑むような笑みを浮かべて先を続ける。
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