たった7日間で恋人になる方法
『しっ仕方ないでしょ、リアルなデートなんて、初めてなんだし』
『今週はあんなにずっと一緒にいたのに?』
『夜と昼間じゃ、なんか違うよ』
『ふうん』
『な、何?』
『それなら…夜の俺の方が良かったってことかな?』
『ちょッ』
咄嗟に周りを見回して、誰にも聞かれていないことを確認すると、『誤解を招くような言い方しないで!』と、小声で叱責するも、尚のこと可笑しそうに笑う。
毎日会っていた時間外の拓真君もそうだけど、今日の拓真君は、あまりにも職場とのギャップがありすぎる。
それに、こうやって自然にふるまえるのって、なんだか、やっぱり…。
『こういうの、慣れてるよね』
『ん?』
『拓真君って、実はやっぱり女の子扱い慣れてるでしょ?』
『…そうかな』
『だって、何だか、今だって凄い自然だし』
『前にも言ったけど、俺にとって”女性”は恋愛対象じゃないだけで、別に嫌いなわけじゃないからね』
『じゃ…こんな風に、女の子とデートしたことも?』
『二人で出かけることがそうだとしたら…無くもない…かな』
サラリと、否定はしなかった。
そういえば、前に女の子と手を繋いだこともあるって言ってたのは、そうした友人としての延長線上のできごとなのだろうか?
コレだって、たった1週間だけど、あくまでも乗りかかった友人として、私を助けるために、本気で協力してくれているだけと考えれば、別段おかしくはない。
そう…拓真君にとって、私だけが”特別”というわけじゃ無いんだ…。
『萌?』
急に黙ってしまった私を心配そうに覗き込まれ、慌ててミルクティを口にして、『これ、美味しい』と誤魔化した。