たった7日間で恋人になる方法


時刻は14時半を少し過ぎたところ。

窓の外は相変わらず雨が降り続き、今朝の天気予報通りなら、この後もしばらくやむことは無さそうだ。

『さて、これからどうする?』

拓真君に聞かれて、自分が今日のデートの行き先も、何も考えていないことに気が付いた。

何せ、ゲームの中でのデートは、大抵既に行き先が決まっていることがほとんどで、こちらが考えるのは、せいぜい分岐点に来た時のセリフの選択くらいなものだったから。

『拓真君は、何か考えてきたの?』
『一応、無難に映画でも…って思ってたけど、せっかくだし、萌のしてみたいデートとかあれば、出来るだけ叶えるけど?』
『やってみたいデート…かぁ』

過去にバーチャルな世界で行ったことのあるデートを思い浮かべ、自分の思い描く”デート像”が何なのか、考えてみる。

遊園地、テーマパーク、映画館、水族館、動物園、美術館……琉星だけじゃなく、過去の(ゲーム上の)元カレと行った場所まで含めると、それは多種多様で、それこそバーチャルならではの豪華なもの(クルーザーや専用ジェット機)まで含めたらキリがない。

それでも、もし現実の世界で恋人とデートに行くとしたら…と考えると、案外普通のことしか浮かばなかった。
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