たった7日間で恋人になる方法
カフェを出て、駅ビルから、映画館も備わっている近くの複合施設まで移動する。
移動手段は、実は歩いても大して距離ではないのだけれど、この冷たい雨の中歩くのも…と、駅から15分毎に出ている直通の循環バスに乗り、ものの10分で到着。
いくつかの商業施設や娯楽施設が連なってる、この大きめのショッピングモールは、個人的にも年に何度か足を運ぶ場所。
とはいえ、当然男性と二人きりで来るのは始めてで、今日はいつもと勝手が違い、まるで初めて訪れた場所のように思えてしまう。
加えて、やっぱりカフェを出てからも、ずっと繋がれている手が、どうにも落ち着かない。
『…これって、繋いでなきゃダメかな?』
『当然でしょ』
ダメ元で、”ずっと繋いでる必要ないのでは?”と抗議するも、”明日の為にも慣れてもらわなきゃ困るから”…と、譲らない。
確かに拓真君が言うように、交際1年の自然な恋人を演じるためには、この程度のことは確実に慣れておかなければいけないのだから、仕方がないのだけれど、これっていくら時間をかけたって、慣れることはないような気さえしてくる。