たった7日間で恋人になる方法


決めた約束通り、観る予定の映画を1本遅らせて、”買い物デート”を実践。

せっかくだし、明日の本番に向けて、服を選ぶという設定。

広いショッピングフロアの一角にある、いつも拓真君が利用しているという、メンズブランドのお店に入ると、何故か緊張よりも期待に胸が膨らむ。

落ち着いた感じの店内は、メンズ服専門店の為か男性客しかおらず、店にいる唯一の女性は、レジの近くにいる若い店員だけのようだ。

『私、男兄弟もいないし、こういうお店入るの初めてかも…なんかワクワクするね』
『…なんか、俺の方が緊張するな』
『ん?どうして?』
『自分の服見るのに、いちいち女性を連れてきたことなんてないし、第一こういうの、女は嫌がるものだろ』
『そうなの?私的には凄く面白いけど…あ!ねぇ拓真君、こんなのどうかな?』

早速目に着いた、ちょっと派手目の服を手にして、拓真君の胸に充てるも、そのちぐはぐさに、思わず吹き出してしまう。

『に、似合う…くく…似合うよ、拓真君…』
『おい…俺で、遊んでるだろ?』
『遊んでなんかいないよ?あ、これも良いかも!ね、これ、試着してみて』

大きな溜息をつきながらも、私の手にする服を次から次へと自らに充ててみては、言った通りに試着してくれる。       

普段の”時枝君”では分からなかったけれど、背も高くてスタイルも良い拓真君は、どんな服もモデルのように着こなしてしまう。
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