たった7日間で恋人になる方法
”もっと、一緒にいれたら…”
咄嗟に胸の奥に広がる、温かい感情が溢れ出そうになり、急いで視線を戻した。
…いけない。
沈黙は、時に良からぬ妄想を作り出し、ありえない方向へと駆り立ててしまう。
とにかく何か話さなければ…と、差し障りの無い言葉を探して、それを打ち破る。
『あ…ありがとうね』
『…ん?』
『この一週間、私につきあってくれて…』
あまりに唐突に発したので、キョトンとした顔をされた。
『何だよ、改まって』
『だって、拓真君には感謝してもしきれないから』
『まだ終わったわけじゃないだろ』
『そうだけど、先に言っときたかったの』
『…俺、明日ポカするかもよ?』
『そ、それは困る…けど』
意地悪そうに笑う拓真君を見上げると、ちょうど駅のアナウンスが、私の乗る電車の到着を知らせる。
『時間通りだな』
何となく、拓真君の私の手を握る手の力が、一瞬強まった気がしたのは、気のせいだろうか。
あるいは、私の方が強く握ってしまったのかもしれない。
今から来る電車に乗り、いつものように今日が終わって、明日が過ぎたら、この1週間拓真君と築き上げてきた、この関係が終わるのだと思うと、なんとも言えない切なさが込み上げてくる。