たった7日間で恋人になる方法
どうしたんだろう?

これじゃ私、拓真君のこと…

『萌…どうした?』

拓真君が心配そうに、私の顔を覗き込む。

そんなこと絶対にあるわけないのに、何故か、感情がうまくコントロールできない。

『…で、良かった』
『ん?』

打ち付ける雨音でかき消されて、聞こえなかったのか、もう一度聞き返される。

『声かけたの、時枝君で良かった…って、言ったの』

拓真君を見上げて、笑顔で言ったつもりが、何故か声が震えてしまった。

あえて、一週間前の呼び名で伝えた気持ちは、これ以上、気持ちが動きださないようにするための自己防衛。

拓真君は黙ったまま、こちらをジッと見つめ返す。

その吸い込まれるよう褐色の瞳から目が離せなくなる。

と、次の瞬間、目の前の視線が遮られ、何かが唇に押し当てられた。

『え…』

一瞬のことだった。

何が起きたのかわからず、拓真君を見ると、何故か同じように驚いた顔をしてる。 

『た、拓真君、今……』

”キス”という言葉を口に出すのが怖くて、敢えて濁してしまう。

『ごめん……つい』

拓真君は戸惑いを隠せないように、明らかに動揺しているのがわかる。
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