たった7日間で恋人になる方法
『専務、それは…』
『皆まで言うなよ、如月。もちろんお前に非がないことは、俺が一番よくわかってる…そもそもこれが、俺の異例の出世を快く思っていない輩のやっかみだってこともな』
『…どういうことです?』
『考えてもみろ、こんな映像、偶然撮れたにしては出来過ぎだろ。かといって、その不鮮明な映像と、相手が”如月”だと名乗っていることに疑問を抱いていない段階で、女の方とつながってる線は消えた。おそらく、如月の女だと思われる複数の女性を張って、つけ入るチャンスを狙ってたんだろうな』
『しかし、なぜ私を狙ったりなんか…』
『そりゃ、部下の失態は、上司の評価にも繋がるからな…ま、俺がなかなか尻尾を出さないもんだから、痺れを切らした、ってとこだろうな』
一瞬おどけて見せて、椅子から立ち上がると、徐に真後ろの窓に向かい、眼下を望みながら、平然と続ける。
『さて、そこでだ…俺は”一旦”、お前を解雇にすることにした』
『…一旦?』
『そうだ。向こうは、俺が入社して早々から手元に置いて、手塩に掛けて育てたお前を、簡単に切り捨てる訳ないと目論んでいたんだろう。俺はそこを敢えて逆手に取ったんだ…ククッ…お前にも見せてやりたかったよ、役員会の面前で、俺が”早急に如月を解雇する”って断言した時の、アイツらの顔』
今度は、耐えることもせず、背中をゆすって笑い出した。