たった7日間で恋人になる方法
彼の名は、時枝 拓真(ときえだ たくま)
去年の今頃の変な時期に、中途採用で入ってきた事務社員。
年齢不詳…でも、いつも敬語なあの態度からみて、おそらく確実に年下とみた。
入社当初から、中途半端な長さの髪はいつもボサボサで、身長はそこそこ高いのだろうけど、常に猫背の為に、目線は自分とあまり変わらない。
常時している黒縁の眼鏡は、お洒落とはかけ離れた太さの黒枠で、長めの髪とその黒枠のインパクトで、彼の目をまともに見た人はいないらしい。
一説には、あのメガネは伊達で、実際には視力は悪くないとか…直接、人と目を合わせるのが苦手でかけている、との噂もある。
彼の机は、執務室でも一番目立たない端に位置し、日中は気配を消して黙々と仕事をし、定時には風のように消え去る。
歓送迎会や忘年会など、社内の社交の場にはほぼ姿を現さず、その正体は謎に包まれていて、その風貌から、まことしやかにアニメオタクだのアイドルオタクだのと、勝手な噂が先行していた。
”何を馬鹿な…”と、思う。
同類の感で、薄々彼が、何か内に秘めたものを隠しているとは、思っていたけれど、ある時を境に、私には”彼の秘密”が、わかってしまったのだ。
もちろん、誰しも周りに悟られたくない秘密の一つや二つある。
実際、乙女系ゲームオタクの私だって、そのことはひた隠しにしているのだから、時枝君のそれを知ったところで、あえて本人に追及することも、噂を広めることもしなかった。
…というより、そもそも、今までは全く彼に興味もなかったからだけど…。
そう、今までは…。
去年の今頃の変な時期に、中途採用で入ってきた事務社員。
年齢不詳…でも、いつも敬語なあの態度からみて、おそらく確実に年下とみた。
入社当初から、中途半端な長さの髪はいつもボサボサで、身長はそこそこ高いのだろうけど、常に猫背の為に、目線は自分とあまり変わらない。
常時している黒縁の眼鏡は、お洒落とはかけ離れた太さの黒枠で、長めの髪とその黒枠のインパクトで、彼の目をまともに見た人はいないらしい。
一説には、あのメガネは伊達で、実際には視力は悪くないとか…直接、人と目を合わせるのが苦手でかけている、との噂もある。
彼の机は、執務室でも一番目立たない端に位置し、日中は気配を消して黙々と仕事をし、定時には風のように消え去る。
歓送迎会や忘年会など、社内の社交の場にはほぼ姿を現さず、その正体は謎に包まれていて、その風貌から、まことしやかにアニメオタクだのアイドルオタクだのと、勝手な噂が先行していた。
”何を馬鹿な…”と、思う。
同類の感で、薄々彼が、何か内に秘めたものを隠しているとは、思っていたけれど、ある時を境に、私には”彼の秘密”が、わかってしまったのだ。
もちろん、誰しも周りに悟られたくない秘密の一つや二つある。
実際、乙女系ゲームオタクの私だって、そのことはひた隠しにしているのだから、時枝君のそれを知ったところで、あえて本人に追及することも、噂を広めることもしなかった。
…というより、そもそも、今までは全く彼に興味もなかったからだけど…。
そう、今までは…。