たった7日間で恋人になる方法

拓真君の話で、いろいろ不可解だった、彼にまつわる疑問のいくつかは、解明された。

専務の秘書だったなら、社内事情に詳しいのは当然だし、職場での”時枝君”がいつも、ルーズだとか業務が遅いとか言われているのも、彼本来の業務は他にもあって(専務からの密命?)、その仕事をこなした上で通常の仕事をしているのだから、どうしても手が回らなくなってしまうのも仕方ない。

しかも現時点で、1年が経過してもバレていないからか、専務が味を占めたのか、最近では時間外や休みの日まで、呼び出されることも少なくないらしい。

『…課長は、知ってるの?』
『いや、課長どころか、総務部長だって知らないはずだ』
『じゃ、このこと知ってる人って…』
『トップシークレットだからな、本当に限られたごく一部の人間しか知らない。専務と俺、後は人事部長…かな?それと…ああ一応、社長も知ってる』
『社長も!?』
『社長は元々俺を解雇するのには反対だったらしいからね、全面的に”黙認”という協力をしてくれている』

それなら、ここまで誰にも気づかれずに来たのも、頷けた。

不測の事態が起きたとしても、会社のトップがバックにいるのなら、何とでも誤魔化しようがある。
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