たった7日間で恋人になる方法
”ピピッ”
ちょうどベットサイドに置かれている置時計から、23:00を知らせる短い電子音が鳴った。
『23時か…』
拓真君の呟くようなその声音に、改めてタイムリミットが近づいていることを知る。
夜も更け、開け放たれた窓から入り込む風が、さっきより冷たく感じると、それに気付いた拓真君が徐に窓に近づき、ゆっくりとガラス窓を閉めた。
『…どうして』
『ん?』
『どうしてその話、私にしたの?』
ピタリと閉めた途端に、わずかにあった外気の音が遮断され、広い空間にも関わらず、急激に密室感が高まった気がした。
拓真君は、何故か黙ったまま、ジッとこっちを見据えてる。
『何で私に、そんな重大なことを話したの?言われなきゃ、私、全然気付かなかったのに』
…そうよ。
このまま、後1時間もしたら、契約した1週間が終わって、明日から元通り通常の毎日が始まるだけ。
私と拓真君は、一週間前までの”ただの同僚”に戻るだけだったのに。