たった7日間で恋人になる方法
時刻は、午前 6:01
真後ろのベットサイドで鳴り続けていたベルを止め、改めて周りを見回した。
右側には濃紺のカーテンの隙間から漏れる柔らかな陽光、その光の差す先、ベットの左側には、高い天井まで続く本棚。
正面の低めのラックの向こう側に広がるリビングは、こちら側と違って遮光カーテンが施されていないのか、早朝の採光が存分に降り注いでいる。
『…拓真…君?』
この部屋の主の名を口に出すも、シンと静まり返る部屋のどこからも、返事は返ってこない…というよりも、そもそも人の気配がしない気がする。
ベットから降りて立ち上がり、すぐ真横の遮光カーテンを少しだけ開ければ、眩しい程の日差しと共に、前の別棟の隙間から、昨夜見た東京タワーが小さく見えた。
…私…あのまま寝ちゃったんだ…
昨日の夜、この一週間の集大成というべき”恋人のお芝居”も無事に終え、その足で拓真君に誘われるままに来てしまった、この部屋。
今立っているこの場所で打ち明けられた、彼の真実と本当の名前。
その最後に告げられたのは、思ってもみなかった自分への特別な想い。