たった7日間で恋人になる方法

…それは、彼の持つ秘密以上に衝撃な告白で、初めは戸惑いの方が優先していたのに、不意に抱きしめられて、感情が抑えられなくなったのは、自分の方。

そう…だって仕方ないでしょ、私だって同じ気持ちだったんだから。

その後の展開は、バーチャル恋愛ゲームでも、何度も経験したはずの流れで、互いの気持ちが確認されれば、いい歳をした大人なら、求めあうのも自然の理。

頭では充分わかっているはずが、齢25歳にして唐突に訪れた、”リアルロストバージン”。

情けない程に、感情が追い付かなかった。

バーチャルな世界では、既に何度も経験している”ソレ”も、現実ともなれば、勝手も何も想像とは違って…。

それでも、いくら初めてだって、押し倒されたベットの上で、私に触れてくる拓真君の手もキスも、そのすべてが甘く優しかったことくらいは、ちゃんと伝わっていたのに。

なのに、私は…。

『…なんで泣いちゃったのよ…』

カーテンを握りしめたまま、呟きと共に、深く落ちた溜息。

『それも、号泣って…普通、引くよね…』

あの時の、拓真君の驚いた顔と、申し訳なさそうに呟いた”ごめん”の声が、ずっと耳から離れない。
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