たった7日間で恋人になる方法

鏡に映る自分に何か違和感を感じて、もう一度、鏡の中の自分を見直して、それに気づく。

昨日から着ているワンピースのフロントボタンがいくつか外れ、少しだけ開かれたシャツの襟もとから覗く、自分の首筋。

その首の付け根に、赤く鬱血したような跡。

『これ…』

急激に、トクトクと心臓が早音を打ち出した。

あの時の…拓真君からの、いくつかの甘いキスの後。

大きな手が首筋をなで、開かれた襟元から、私の首に押し当てられた柔らかな唇。

初めて味わう小さな疼きと、期せずして自分の口から零れてしまった、甘い吐息。

私は余裕もなく、この上なく恥ずかしかったのに、あの時の拓真君の顔は、なぜだか不思議と嬉しそうだった気がする。

思い出した瞬間から、その場所が熱を持ったように疼きだす。

”…何、これ?触れてもいないのに、この感覚……”

さっきよりも両頬が熱を帯び、火照った顔を冷ますべく、冷たい水でもう一度顔を洗う。

この一年、ゲームの中で琉星と、初めてキスをした時も、一夜を共にした時も、それなりにドキドキしたけれど、こんなじゃなかった。

今ここに拓真君がいるわけでもないのに、首筋に触れてる感覚が消えず、打ち始めた鼓動は、なかなか治まってはくれない。

『どうしちゃったの…私』

ボー然と鏡に映る自分を見て、自分が自分ではないような錯覚に陥る。
< 216 / 274 >

この作品をシェア

pagetop