たった7日間で恋人になる方法
鏡に映る自分に何か違和感を感じて、もう一度、鏡の中の自分を見直して、それに気づく。
昨日から着ているワンピースのフロントボタンがいくつか外れ、少しだけ開かれたシャツの襟もとから覗く、自分の首筋。
その首の付け根に、赤く鬱血したような跡。
『これ…』
急激に、トクトクと心臓が早音を打ち出した。
あの時の…拓真君からの、いくつかの甘いキスの後。
大きな手が首筋をなで、開かれた襟元から、私の首に押し当てられた柔らかな唇。
初めて味わう小さな疼きと、期せずして自分の口から零れてしまった、甘い吐息。
私は余裕もなく、この上なく恥ずかしかったのに、あの時の拓真君の顔は、なぜだか不思議と嬉しそうだった気がする。
思い出した瞬間から、その場所が熱を持ったように疼きだす。
”…何、これ?触れてもいないのに、この感覚……”
さっきよりも両頬が熱を帯び、火照った顔を冷ますべく、冷たい水でもう一度顔を洗う。
この一年、ゲームの中で琉星と、初めてキスをした時も、一夜を共にした時も、それなりにドキドキしたけれど、こんなじゃなかった。
今ここに拓真君がいるわけでもないのに、首筋に触れてる感覚が消えず、打ち始めた鼓動は、なかなか治まってはくれない。
『どうしちゃったの…私』
ボー然と鏡に映る自分を見て、自分が自分ではないような錯覚に陥る。