たった7日間で恋人になる方法


午前 6:15

入ってきたドアの左側にあるもう一つの扉は、キッチンの後ろにあるパントリーに繋がっているんだって、昨日拓真君に教えてもらっていた。

その扉からパントリー経由でキッチンに抜け、柔らかな日差しの降り注ぐリビングに出る。

カウンターの前には、昨日拓真君の手料理をいただいた、ダイニングテーブル。

そこのテーブルの上に”それ”は、置かれていた。

仕事上よく目にする”時枝君”の見慣れた文字で書かれた一枚のレポート用紙と、その横に置かれた2つの封筒。

用紙に書かれたメッセージは、宛名は無いけれど、私へのものに違いなかった。



【 昨夜は、ごめん。

泣かせるつもりじゃなかったのに、自制が足りなかった。

一応、朝、自宅経由で仕事に行けるように目覚ましをかけておいた。

もちろん、無理して仕事に行く必要はないと思うが…その原因を作った俺が言うのも変だな。

部屋にあるものは何でも使ってくれて構わないし、鍵はオートロックなので気にしなくて良い。

それと、君から受け取ったお金は、最初から使うつもりは無かったからそのまま返す。

そもそも君を騙していたことには違いなく、そう言った意味でも受け取ることはできない。

最後に、君を怖がらせてしまった俺が言うと説得力に欠けるかもしれないが、現実の恋愛も悪くない。
 
嫌厭せず、リアルな恋愛もした方が良い 】


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