たった7日間で恋人になる方法
『良かった…来てくれたんだね』

独り言のようにつぶやくと、時枝君はいつもの猫背で、微動だにせず、こちらを警戒してるようだ。

『メモ…見たんですが…相談って、いったい…』

視線は上げず、言葉を区切って、ゆっくり話す時枝君。

『突然こんなとこに呼び出して、ごめんね』

彼の警戒を少しでも和らげようと、笑顔で優しく声をかけるも、時枝君は警戒を解くどころか、ますます訝しげにこちらの様子を伺い、今にも逃げ出しそうな体制を崩さない。

逃げ道を塞ぐように、目の前に立つと、思っていたより身長の高い、時枝君。

まずい…逃げられる前に、さっさと要件を済ませないと。

『時枝君』

意を決して、彼の名を呼ぶと、時枝君の肩が大げさに揺れ、怯え戦くのが手に取るように伝わってくる。

『あの…な、何でしょうか?』

消え入りそうな小さな声で、囁かれる。

『私、時枝君に、大事なお願いがあるんです』

しっかりと彼を見ながらハッキリと口に出し、一歩彼の方に近づくと、時枝君も私に気圧されて一歩後ずさり、その勢いですぐ後ろにあった壁に、ぶつかってしまう。

あたった瞬間、空間にある小さな埃が、宙を舞った。

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