たった7日間で恋人になる方法

『いいの、このお金は、今からお願いすることの報酬と、この件の口止め料も入っていると思って、黙って受け取ってほしいの』
『…口止め料？』
『別に犯罪とかじゃないから、安心して…ただちょっと、人を騙すことにはなるけど、誰も傷つかないし、害も無いから』

ますます、訝しがる時枝君。

『そのお願いって、さっきの…僕の一週間分の時間っていう…』
『うん、そう』

こちらの切羽詰まった真剣さが伝わったのか、今度は冷静に、次に発する私の言葉を待つ。

『時枝君には、この一週間で、私の”リアル”な恋人になってほしいの』
『リアルって…』
『あ、違う違う！そのリアルじゃなくて、えっと…普通の彼氏って意味で…』

一瞬、その言葉を誤解して顔を赤らめる時枝君に、急いでフォローを入れる。

『とにかく私…今週末の日曜日までに、どうしても恋人を見つけなきゃいけなくて、時枝君には、一週間で…あ、正確にはもう残り６日間しかないけど、私の仮初めの恋人役をしっかり演じてほしいんだ』
『えっと…森野さんって、彼氏…いないんですか？』
『現実にいたら、時枝君に頼まないよ』
『あ…ごめ、いや、すみません』

失礼なことを言ってしまったと、謝る時枝君。

こんなことでもなければ、現実世界での恋人など、全く必要ないと思っている私には、本来謝る必要などないのだけど、今は琉星の話をゆっくり説明している時間は無いから、素直に受け取っておくことにする。