たった7日間で恋人になる方法
美園ほどの身長も色香も出ないけれど、できるだけ年相応の大人びた顔で、彼を見据える。

『時枝君』
『は、はい?』
『あなた、何か隠してることない?』
『え?』

即座に、明らかに動揺する時枝君。

そして迫るように、また一歩彼に近づき、すぐ横の壁に左手をつき、思ったよりあった身長差の為に、少し背伸びをする格好になってしまったけれど、そのまま彼の耳元に近づいた。

『例えば…』

声を潜めて、今度は、私だけが知っているであろう、彼の”秘密”を口にする。

『女性よりも男性の方が好き…とか』
『なッ…!!』

咄嗟に大きな声を上げた自身の声に驚き、口元を押さえる時枝君。

頭上には非常用の階段が連なり、大きな声を上げると、エコーがかかったように、良く響いた。

『森野さん、君は…な、何を言い出すんだ!?何を根拠に、そんな…』

ついタメ口になっていることすら気付かず、その動揺は、私の予想を遥かに超え、疑惑が確証に変わる。

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