たった7日間で恋人になる方法
『実はね、私、見ちゃったんだ…時枝君の机の引き出しの中』
『…引き出し?』
『言っておくけど、わざわざ開けてみたわけじゃないからね、偶然開いていたからちょっと見えただけで…』
『何を…何を見たって…』

私はあの日、開きっぱなしだった時枝君の引き出しの中でチラリと見た写真や雑誌を思い起こしながら、幾分言葉を選びながらも、的確に表現する。

『…何も服を着てない男性同士がくっついてる写真…とか、BL?っていうの?その手の本が何冊か…』
『……』

時枝君は、唖然とした表情でしばらく無言で立ち尽くし、起こった事態を正確に認識すると、深く溜息を吐き、ゆっくりその場にしゃがみ込んでしまう。

『あれを…見られたのか…』

ぐったりとうなだれ、ショックを受け、両腕で頭を抱え込む時枝君を目の当たりにして、急激に罪悪感に苛まれる。

『あ、えっと、時枝君?平気よ、私、それ誰にも言ってないし…実はね、私にも人には言えないことあるし、気持ちはわかるって言うか…』
『…脅す気なの?』
『脅すなんて、そんな…』

言いながら、不意に今日、本来の主旨を思いだした。

『時枝君が、私のお願い聞いてくれたら、このことは一生誰にも言わないから…』
『そんなこと、どうやって証明する?』
『証明って…』
『こんなこと周りにバレたら、会社にだっていられないかもしれない…』

下を向き、独り言のようにつぶやく彼からは、ネガティブな言葉しか零れない。

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