たった7日間で恋人になる方法
『拓真君…』
『職場では、時枝でお願いします』
『あ…そうか、ごめん』
咄嗟に周りを見回し、とりあえず、ホールには今のところ二人だけしか見当たらず、ホッと胸を撫でおろす。
『そこ、高層階用ですよね?』
『うん、専務に書類持ってくように頼まれちゃって…』
『?…何か、問題でも?』
『ちょっとね、私、高いトコ苦手…なんだよねぇ…』
『なるほど、それでツイてないと…』
『時枝君、このエレベーター乗ったことある?』
『ええ…まぁ』
『外側がガラス張りになってるのって、確か腰より上だけだったよね?』
『いえ、今は全面ですよ?…去年だったか、社長が開放的な方が良いからって、足元までガラス張りに』
『…足元まで?』
想像するだけで、足がすくむ。
一瞬、非常用階段が脳裏によぎったが、自分の体力の無さと、部長に”至急”と言われたことを思い出し、直ぐに諦める。
”チン”
無情にもエレベーターの到着した音が、ホール内に響き、目の前の扉が開く。