たった7日間で恋人になる方法
『萌さん?』
私の不安が伝わってしまったのかもしれない。
戸惑うような拓真君の声で我に返る。
『ハハ…なんか、緊張しちゃってるね?私…』
いけない…私の為に無理してもらってるのは、拓真君の方なのに。
『萌さんの方こそ、無理しない方が…』
『ううん、大丈夫!あ、じゃあさ、今から拓真君の手のひらに重ねてみるから、嫌じゃなかったら、私の手、握ってみてくれるかな?』
『…うん、わかった』
まるで理科の実験のような行為に、拓真君も神妙な顔で頷いてくれる。
小さく胸の鼓動が波打っていることは敢えて考えず、こちら向きにテーブルの上に置いてくれている拓真君の手のひらに、自分のひと回り以上小さな手を重ねてみる。
緊張のあまり、小刻みに震えてしまう自分の手に、どうか拓真君が気づかないように…と祈りながら。
『…』
『…』
触れた瞬間、温かなぬくもりが伝わってきた。
無言のまま、ゆっくり上に重ねた手のひらが、拓真君の手のひらによって、包み込むように握られる。
『!』
恥ずかしさのあまり、咄嗟に引き抜こうとすると、思いのほか強く握られてしまう。
『萌さん、10秒我慢して?』
『っ…』
『1、2、3…』
拓真君がゆっくり長く数を数えている間、私の手は温かな手のひらに包まれたままだ。
さっき飲んだアルコールのせいか、自分がふわふわと熱が上がったように火照っているのがわかる。
『…8、9、10…はい、おしまい』
そういうと、握っていた手をパッと広げて、拘束を解いてくれる。