たった7日間で恋人になる方法
解放された手をすぐに引っ込めると、羞恥のあまりテーブルの上に突っ伏した。
『萌さん、ごめん…嫌だったよね?』
『…』
拓真君の問いかけに、黙って首を左右に振る。
嘘ではなく、本当に嫌な感じはしなかったから。
ただ、初めて触れた拓真君の手の温かさに、なんだか照れくさくて、恥ずかしかっただけだ。
『…でも、慣れるためには少し頑張らないと…だから』
申し訳なさそうな声が続き、やっとのことで、言葉を紡ぎ出す。
『…平気…むしろ…助かった…』
火照ったままの頬を抑えながら、顔を起こすと、見慣れた風貌の拓真君が少し心配そうにこちらを見ていて、何だかホッとした。
…いつもの拓真君だ。
『ごめんね、本当は、私の方がしっかりしなきゃいけないのに…拓真君は嫌じゃなかった?』
『大丈夫、凄く緊張したけどね』
『私も…照れたわ』
互いに、照れくさそうに笑い合う。
『今日は無理しないで、ここまでにしょうか』
拓真君が自分の腕時計で時刻を確認し、まだ少し早い時間だけれど、今日は解散しようと言ってくれる。
正直、今日はいろいろな意味で疲れていたので、その言葉はありがたかった。
『ホント…ヘタレだね、私』
『仕方ないよ、いくら僕が同性愛者でも、見た目はシッカリ男だからね、むしろ萌さんは頑張ったと思う』
『ありがと…』
拓真君の優しい言葉に、もはやどちらがどちらに、無理難題をお願いしているのか、わからなくなる。
バーチャルな世界では、いくらだって簡単にできたことが、リアルになるとこうまでも違うとは思わなかった。
当日まで、まだ時間はあるけれど、この数日でコレに慣れなければならないのかと思うと、先が思いやられる。