たった7日間で恋人になる方法

『皆が知らないのも、無理もないさ…彼は入社してすぐ、その高い能力を買われて、早々に秘書課に引き抜かれて以降、ずっと専務の専属秘書だったからね』
『秘書課って、女性だけじゃなかったんだ』
『おいおい、今の時代、そう女性だけの仕事なんてないだろう?むしろ、優秀な秘書は男性が多いって話だ』

確かに、牧村さんの言ってたことは、あながち間違ってはいなかった…ということか。

『あの…彼の、如月さんの退社した理由って…』
『さぁな、そこまでは…』
『女だよ、女!…確か、業務時間内にどっかの執務室だか会議室だかで、女とヤッてるとこ見つかって…』
『菊田!』
『痛ッ』

空気の読めない菊田さんが主任に頭を小突かれると同時に、そこにいた女性達の冷たい視線と『最低…』と呟く声を、一手に浴びる。

『お、おいっ、これ俺の話じゃないからな?』
『はい、もうこの話は終わり!今日は展示会もあるし、いろいろ忙しいんだから雑談してる暇ないぞ』

主任の声掛けで、皆しぶしぶと各々の業務に就く為、自分のデスクに戻っていく。

それにしても…牧村さんから聞かされた”如月”という男は、想像していた以上に、最低最悪の男だった。

いくらイケメンで優秀でも、そんな男は願い下げに決まってる。

…最も、現実の恋愛などする気は更々無いのだから、例えそんな男がいたとしても、自分には全く関係は無いけれど…。
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