たった7日間で恋人になる方法
『一緒に来た男性…?』
『マスターが言ってた…拓真君、女性は初めてだけど、男性は何度が連れてきたことあるって…』
『ああ、大学の頃の友人のことかな?さっきのもその時…』
『や、やっぱり、こういう自分の…自分だけの特別な場所に連れて来るって、そういう人だよね?』
『そういう…人?』
『拓真君にとって、特別な相手っていうか…』
『…萌?』
『す、好きな人っていうか?…』
『萌』
私の言葉を遮るように、名前を呼ばれ、思わず我に返る。
『もしかして…妬いてる?』
『え』
隣に座る拓真君を見れば、少し驚いたように、キョトンとしている。
『な、な、なんで私がッ!?』
動揺してシドロモドロになってしまい、これじゃますます本当に妬いているみたいだ。
『何だろう?ちょっと、嬉しいね』
拓真君は、にやけた口元を隠すようにして、少し照れたような顔でこちらを覗き見る。
『ち、違うから!そんなんじゃないからね?』
『…全否定?』
『だって男性に妬くって、そもそも可笑しいでしょ?』
『そうかな?』
『そうでしょ!』
『萌…顔、真っ赤』
『お、お酒のせいよッ』
『ふうん』
何故か動揺しまくって、先ほど自らが発した、妙な誤解を招いた言動の対応に追われる羽目になった。
拓真君は、そんな私を、終始ニヤニヤしながら見つめている。
一体、どうしちゃったのよ?私。
拓真君を琉星に見立てたせいで、少し感情移入し過ぎたのかもしれない。
これはすべて週末の大芝居の為のフェイク…そんなことは、充分承知しているはずなのに。