たった7日間で恋人になる方法


どのくらいたったのか、大して飲んだ気もしないけれど、どうにも瞼が重くなり、いつの間にか、カウンターに両手を重なり合わせ、突っ伏して寝てしまっていた。

『…様、…クシー……ますか?』
『ああ……すね、頼みます…それと、今はその名は…』
『おっと、そうでしたね…しかし……では…』

断片的に途切れ途切れに聞こえてくる声は、拓真君と店のマスターの会話?

深海の底で、いい加減、起きなきゃ…とは思うのだけれど、昨日からの寝不足のせいか、身体が一向に目覚めてくれない。

『……参ったな…』

拓真君の声?

小さな、つぶやきと共に、誰かの温かな手が、静かに頭に触れた。

その、優しく髪を梳く手が、ますます睡魔を誘う。

ここは現実?…それともバーチャル?

何だか、凄く気持ちいい。

…このまま、ずっと眠ってしまいたいくらいに…。
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