トラウマの恋
3



それから今に至るまで
何もなかったわけじゃない。

だけどもう傷つきたくなくて

相手の“すき”を信じられなくなってしまった。





「まだ彼氏いないの?」

飲み友達の沙奈江。
学生時代の友達で気も合う。
今でもこうやってたまに会っては
近況報告をするんだ。

「もういいんだってばー、
一人で生きていくよ!
沙奈江が居れば生きていけるー。」

「何言ってんのよ。
わたしだって結婚しちゃうし
子どもとか出来たらこうやって飲むって
出来なくなっちゃうよ!」

「いやだー。
沙奈江のお家にわたしも住むー。」

「はいはい、
40になって一人だったら
おいでよ、」

と頭を撫でてくれる沙奈江。

分かってる。いつかはみんな結婚して
子どもが出来て母になる。

わたしも、って思っていたけれど
もう無理だ。

たかが失恋って思うかもしれないけれど
彼の存在はわたしには大きすぎた。
もちろん初めての彼氏じゃなかったし、
今までの彼氏もそれなりに好きだった。

だけどこんなに好きになれた人は居なかった。



だからこそ、ぽっかり穴が空いたように
感情が欠如したかのように
恋愛のスイッチは入らない。
< 13 / 50 >

この作品をシェア

pagetop