トラウマの恋
「…サロンモデル?」
何だ、と思ってしまった自分が嫌だ。
「そう。俺の練習台になってよ。
この前茅菜に会ったら
髪いい感じの長さだったからさ
もちろん、茅菜の予定に合わせるよ。」
わたしじゃないのか、
髪の毛ね。
なんて思ってしまって。
「…ごめんなさい。」
断った。もうこれ以上側にいるのは危険だ。
まだ断ち切れてない。
「頼む!送り迎えもするし!
ご飯くらいならご馳走するし。」
「…けど、仕事もあるし。
当日にドタキャンしちゃうかも。」
諦めてくれるだろうか。
「いいよ、茅菜に合わせる。
ずっと待ってるよ。」
どうすればいいんだ。
分かんない。
だけどわたしが押しに弱いことは
彼も承知の上での交渉だ。
わたしに勝ち目なんてない。
「…わかった。」