トラウマの恋
圭斗くんに続いて中に入ると
懐かしくなってキョロキョロと
見渡してしまった。
「茅菜!こっち。座って。」
ある席に案内されて
カラーとカットを提案された。
長さは変えず少しスタイルを変えたい。
とのことで、
わたしはもうお任せすることにした。
真剣な表情、
綺麗な手さばき。
あー、ここも好きだったなーと思いながら
見ていると、
鏡越しに目が合った。
「ん?何?」
慌てて雑誌に目を戻す。
「何でもないです!
どれくらい切るんだろうって思って。」
「あ、やだった?」
「いやいや、違うんです。」
「そ、よかった」
ふっと笑ってまた真剣な表情。
あー、駄目だ。泣きそうだ。
もうこれ以上一緒に居たら駄目だ。
「はいっ、完成。
最後巻いて写真撮らせてね。」