トラウマの恋
今日もいつもと変わらない。
それでいい、それがいい。
「赤城ちゃん!」
会社の最寄駅で声をかけられ振り向くと
そこには同期の伊波 孝也(いなみ たかや)
「伊波くん、お疲れ様!」
彼もちょうど仕事を終えたんだろう。
爽やかに走ってきた。
ほんと、整った顔。
そりゃうちの会社の営業部では
立派なエースだもん。
彼は“人たらし”という言葉が一番しっくりくる。
それくらい敵を作らず、
上司部下、男女関係なく愛されている。
「お疲れ様。久しぶりだね!
今から飲みに行かない?
あの新しく出来た居酒屋
めっちゃレアなお酒が
いっぱいあるらしいよ!
赤城ちゃん酒豪でしょ?付き合ってよ!」
「酒豪じゃないし!もうーやめてよ。
だけど確かに気になるね!行こう!」
そう言って私たちは駅近くの居酒屋へ入った。
お店は混んでいたけど
ラッキーなことに
カウンター2席のみ空いていた。
私たちは迷わずカウンターに座った。