トラウマの恋
髪を巻いて写真を撮ってもらう。
完成を見た時、鳥肌が立った。
やっぱりこの人の技術はすごい。
ほんとに。全然違う。
「はい、今日は終わり。
ありがとなー、次いつにしよっか。」
「え?またするんですか?」
「するよー、
あと何パターンか撮りたいもん。」
どうしよう。
また会える、と会ったら駄目だ、
感情が交錯する
「…しばらくは無理かもしれません。
ちょっと仕事が忙しくて。」
この答えを取ったわたし。
これで合ってるよね?
「土日は?夜だけだし。行ける日教えて。」
彼は頭がいい。
わたしの行動なんて把握してるだろう。
断っても次の手があるんだ。
「じゃあ来週の日曜はどうですか?」
「おっけ!また連絡するわ!
送ってく!」
「いいですいいです!
まだお仕事残ってるじゃないですか!」
と断ったけど
「いいから、」「あーかぎさん!」
圭斗くんの言葉を遮って
誰かがわたしに声を掛けた。
「衛藤さん!お久しぶりです!」
衛藤さんもこのサロンで働くスタッフさん。
カラー中などによく3人で話した
圭斗くんも仲がいいそうだ。
「赤城さん、久しぶりだねー!
なんか綺麗になってない!?
あ!素敵な彼氏できた!?」
人懐こくてお話好きな衛藤さんは
ズバッと確信をついてきた。
「全然綺麗じゃないですよ!」
「いやいやほんと!元々綺麗だったけどさ、
今日久々でびっくりしたもん!」
「ほんとお上手ですねー、
でもありがとうございます!」
「送る。」
横から割り込む圭斗くん。
「いいですって!お仕事して下さい!」
「赤城さん、送ってもらいましょ!
上原さんもこう言ってるし。ね!」
そう言われ
「じゃあお願いします。」
と、二人で店を出た。