トラウマの恋
撮影も終わり、着替えて出てくると
機材などは全部片付けられていた。
「よし、帰るか。」
と言って圭斗くんに手を引かれ、
バランスを崩しながらもついていく。
「乗って、はい。」
当たり前のように助手席に案内してくれ
進む先には嫌な予感。
「あの、明日仕事なので
できればここら辺で降ろしてもらえたら…」
「はいはい、ここ駅ないから」
「タクシーでも拾います。」
「とりあえず俺んちな。
渡したいものがあるんだよ。」
「何ですか!?お家なんて行きませんよ!
もうほんと降ろして下さい!
今日はもうこれで最後って
伝えに来たんです。」
「…」
何も答えてくれない。
ああ、このまま彼の家に行くんだろうか。
「…はい、降りて。」