トラウマの恋

黙って話を聞いていたら謎の言葉。

「え?彼氏?ん?」

「あの同じ会社のイケメンくん!」

ん?イケメン?誰だ?

「居酒屋もそいつと来てただろ?」


「あー!伊波くん!
あの人は彼氏じゃないです。
職場の同期で仲がいいんです。」


「別れたの?」


「一回も付き合ってません。」


「は?俺と付き合ってる時は?」

信じられない言葉に混乱する。

「ちょっと待って下さい。
じゃあ上原さんはわたしが二股してたとでも
言いたいんですか!?」

圭斗くんはすごく気まずそうな表情で

「いや、それは、信じたかったけど。
見てしまったし。」

見てしまった?


「何言ってるんですか?」


「まだ付き合ってる時に
仕事終わりに飲み会の茅菜を
迎えに行ったことがあって
その時に茅菜と男が抱き合ってるの見た。

本当お似合いだって、
うちの会社一のカップルだって。
向こうもお前のこと
満更でもなさそうだったし
周りの人達もキスとか囃し立ててるし
それでしちゃうとこまで見たよ。」

…思い出した。
みんながすごく酔っ払って
悪ノリしてた時だ!
わたしも珍しくちょっと酔って、
ふらついたのを
伊波くんが受け止めてくれたんだ。

「あれは…ごめんなさい。
ふらついて伊波くんに寄りかかりました。
でもキスはしてません。
伊波くんもわたしのこと
何とも思ってませんよ。」

「それで、俺さ
お前のこと信じてやれなくなった。
いつか好きなやつが出来たって
振ってくるだろなあと思ったら
なんか腹が立ってこっちから
言ってやろうって」
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