トラウマの恋
何だかどう言っていいのか分からない
だけど
「そんなの、ずるい。
何で直接聞いてくれなかったんですか?」
そう言うと彼は本当に辛そうな顔をした。
「そうだよな、
今となっては茅菜に直接聞いて
問い詰めればいいって思うのに
あの時は好きだ好きだって
態度では表してくれる茅菜と
飲み会での茅菜の姿に
どっちが本当か分からなくなった。」
「茅菜、本当にごめん。
居酒屋で再会した時
次は振られてもいいから
正直に言おう、って思って
茅菜にモデル頼んだ。」
それも職権濫用だよなーって
元気なく笑う彼を放っておけなくて
抱きしめた。
「…茅菜?」
「わたしも好きです。
ずっとずっと今日までずっと
好きなままです。」
抱きしめるわたしを
大きな手が抱きしめ返してくれる
ああ、何てあったかくて
安心出来るんだろう。
「だけど一つだけ。
もう嘘はつかないで、
圭斗くんの言葉全部信じる。
だから“はじめから好きじゃなかった”なんて
私たちの関係が元から嘘だった
みたいなこと言わないで!」
「ああ、約束する。
やっと名前で呼んでくれた。
辛い思いさせてほんとごめん。
もう離れたくないんだけど。」
「わたしも…。
来てくれてありがとう。」