トラウマの恋
「あー、腹減ったー。」
歩きながら圭斗くんが手を出してくれる。
「何食べる?」
その手を取って一緒に歩ける幸せ。
ああ、やっぱりこの人が好きだ。
わたしにはこの人が必要だ。
行き先は決まった。
圭斗くんの車に乗って
大好きだった洋食屋さんに。
別れてから一度も行かなかったあのお店。
また来れるなんて本当に夢みたいだ。
「いらっしゃいませ、あっ!」
そこには何と、桃さん。
洋食屋さんは圭斗くんの友達でもある
息子さんが継いで
桃さんはその息子さんと結婚したらしい。
「おめでとう!
茅菜ちゃんだよねー!会いたかったー!
よくね尚希と一緒に、
圭斗から茅菜ちゃんのこと聞いてたんだよ!」
尚希とは洋食屋さんを継いだ息子さん。
つまり圭斗くんの友達で、
桃さんの旦那さん。
「初めまして、圭斗をよろしくね。
来てくれてありがとう。
こいつこんなやつだけどさ、
相当茅菜ちゃんに惚れてるからさ、
支えてやってね!」
と、言って作ってくれたのは
大好きだったハンバーグドリア!
「茅菜いっつもそれだったよな。
ほんと良く食べる。」
ご飯を食べて、車に乗る。
「美味しかったねー!」
「また連れてってやるよー。」
何気ない言葉だけど
“また”が嬉しい。
その後圭斗くんの家におじゃました。
この前のことを思い出したけれど
今はぐっと手を握ってくれてる。
リビングに行くと少し家具なども変わっていて
でもやっぱりオシャレなお家だ。
「おかえり、茅菜」
そう言って抱きしめてくれる彼。
「ただいま。」
今度は手を離さないよ。
だからさ、あなたも離さないでね。
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