トラウマの恋


それから何でもない毎日を過ごしていた。

しばらくした週末のある日。

また友達と出掛けた帰り。

地元の駅に到着し、改札を抜けると

「あの、」

と男の人に声を掛けられた。

顔を上げるとどこかで見たことがある。
だけど思い出せない。

「この前お水とティッシュを
くれましたよね」

あの、酔っ払いの!と
喉元まで出かかった言葉を飲み込み

「そうですね、
体調は大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございました。
ほんと助かりました。
一言お礼を言いたくて、」

と、すごく申し訳なさそうに
続けて話し出した。

「あ、すみません。
僕、上原 圭斗(うえはらけいと)
 っていいます。
 突然驚きましたよね、
 全然怪しい者じゃないですよ。」

と言って、名刺を差し出してくれた。

そこには有名な美容室の名前と
彼の名前と【副店長】と書かれていた。

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