みだらな天使
ベッドに横になりながら、奏の話を聞いた。




母親と再会しただけならともかく…




その母親が、小さな男の子を連れていたということだった。




「あの子がお腹にできたから、あの人は私を捨てたのよ…」




身体を震わせる奏を、ベッドの中で抱きしめる。




「なあ、奏。」




「なに…?」




「今日はすごく驚いたと思うんだ。でも奏、お母さんに何か言いたいこと…ない?」




「言いたいことなんて…」





身体を強張らせる奏。




そんな奏の髪の毛をあやすように撫でる。




「2年前から今日まで。奏は一生懸命生きてきた。いろんな経験をした。そんな奏から…母親に言いたいこと、あるだろ?」




目に涙を浮かべたまま、困惑した表情で俺を見つめる奏。




そんな奏の唇にキスを落とす。



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