みだらな天使
お互いの正体
「サキちゃん、何か食べたいものある?」



「…別に」




「愛想ねぇな〜。」




あれからずっと男の行動を目で追っているが、私をどうこうしようとする様子はない。





「じゃあ適当に食べに行くか。」




そう呟いた男に対し、恐る恐る問いかけてみる。




「あの…まさか毎日外食なわけでは…」




「え?そうだけど?」





嘘でしょ。



どうりでキッチンが綺麗だと思った。




それにしても、この男には彼女はいないのか?




…いないから、私を簡単に連れ込むのだろうけど。




「おーい、サキ?」



「えっ…?」




呼ばれていたことに気づいたと同時に、馴れ馴れしく呼び捨てだったことにも気づく。




「ほら、食いに行くぞ。」



「ちょっと待ってよ。毎日外食じゃ身体壊すよ?冷蔵庫になんか入ってないの?」




そう言ってから、ハッとした。





私、この男の彼女でも何でもないのに…




なんでコイツの身体の心配なんてしてる…!?




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