みだらな天使
「朝から奏とデートなんて嬉しいな。しかもそんな可愛い格好してくれちゃって。」



朔は、私のワンピース姿を見て、これ以上ないくらいに褒めてくれる。




そういう朔も、トレンチコートをサラッと着こなし、オトナの色気を魅せつける。




「ね、朔。お願い…聞いてほしい。」




「お願い…?」





駅前に到着。



この場に立つとやっぱり緊張して。



私はふとこんなことを口にしていた。




「もしちゃんと私が言いたいことをあの人に言えたら、その時は…このままデート行きたいな。昨日…できなかったから…」





朔の腕をぎゅっと掴む。




「当たり前だろ?奏が嫌って言ってもデート連れ回すつもりだったし!」





そう言って笑う朔に、私も自然と笑顔になった、その時。





「あ、おねーちゃん!」




その声に振り返れば、昨日の男の子と…




私の母親“だった”女が立っていた。


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