みだらな天使
「か、奏…あなた今までどこにいたの?今どこに住んでるの?」
「そんなの…言う必要ある?」
急に母親ヅラ?
やめてよ。
そんな醜い感情ばかりが溢れてくる。
だけどやっぱり、昨日アレコレと考えていたことなんて、全然浮かばなくて。
咄嗟に口をついて出た言葉は、これだった。
「私ね、今までの人生で今が一番幸せなの。この私が毎日笑って過ごせてるの。だからあんたはあんたで、コウタくんに寂しい思いさせないように精一杯生きてほしい。私みたいな思い…あの子には絶対させないで……」
泣くつもりじゃなかったのに。
コウタくんに自分を重ねた途端、涙があふれた。
そんな私をそっと支えるように寄り添ってくれた朔。
母を見ながら、ゆっくりと口を開いた。