みだらな天使
朔の言葉に、今度は私が驚きを隠せないでいると…



俯き加減だった母が、まっすぐこちらを見て言った。




「私がこんなこと言えた立場でないのはわかっていますが、娘を…どうか娘を、よろしくお願いいたします。」





母が深々と頭を下げた。




「はい、必ず幸せにします。」




朔もスマートに会釈をした。





そして、そのまま駅を後にした私たち。





何だろう…頭がぐるぐるしている。




母に言いたいこと言えて全てが解決したような気がするけれど、さっきの朔の一言が忘れられない。





「さて…と、どこか行きたいところあるか〜?」




あっけらかんとした表情の朔。




「ま、待って朔…さっきのって…」




「さっきのって?何?」




「け…結婚って……」




自分の顔が真っ赤になっていることがわかるくらい熱い。





すると、朔が私の手を取り、ずんずんと歩き出した。





一歩前を行く朔の表情が見えなくて、何を考えているのか、どこに行くのかがわからない。




繋がれた手がすごく熱い。




下を向いていると、突然朔が立ち止まった。




「どうしたの、さ…く………」





見上げると、そこには…




真っピンクのホテル。





ええええええええっ!?

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