みだらな天使
「冷蔵庫ならそこだけど…サキ、料理できるの?」
別に、そういうつもりで聞いた訳じゃないし!
…そう、言いたかったのだけど。
瞳をキラキラと輝かせながら私を見つめるこの男を見ていたら、言葉が出なかった。
何、その仔犬のような目は。
…ダメだ、コイツといると調子狂う。
早く、別の男を探さなきゃ。
そう心に決めて、冷蔵庫を開ける。
…料理しないわりには結構食材が入ってる。
「これなら、カレーとか作れそうだけど…」
「か、カレー!?」
さっきよりも目を輝かせている。
今、少しだけ…
可愛いなと思ってしまった。
ダメダメ!
コイツだって、見知らぬ女を簡単に家に連れ込むような男なんだから。
信用するな、私。
大人なんて…
勝手な生き物なんだから。