みだらな天使
「お、勉強してるなー。」
「朔、おかえり。」
夜、勉強をしていると、朔が会社から帰ってきた。
いってきますとただいまのキスは、今も健在で…
「ただーいまっ。」
そう言いながら、私の唇にチュッとキスを落とす。
しかしその後、ソファーに腰をかけ、ふうっとため息をつく朔に違和感を覚える。
「…どうしたの?なんだか疲れてる?」
そう問いかけると、ネクタイを緩めながら、ごめんなと呟く朔。
「ちょっとな…アイツがまた来てさ。」
「…アイツ?」
「…水島加菜。」
「え…」
その名前は忘れるはずもない。
水島加菜は…
水島コーポレーションの社長令嬢で…
…朔の婚約者候補。
「しばらくは大人しかったんだけどなぁ。最近、またうろちょろされてるんだよ。ったく、めんどくせーなー。」
ため息の原因は、加菜さんだったんだ。
……なんか、ムカつく。
朔の緩んだネクタイを思いっきり引っ張り、キスしてやった。