みだらな天使
「彼女が我が社にもたらすメリットはあるのか?わたしには理解しかねる。水島の娘さん以上にいい物件はない。」
現実を突きつけられた。
やっぱり朔たちにとって家柄は大切であって…
私なんかが、こうして一緒にいることすら罪のような感覚に陥る。
「そんなことあんたに言われる筋合いはない。岩塚ホールディングスはあんたの会社とはもう関係ない。だから、放っておいてくれない?結婚相手は俺が自分で選ぶ。」
いつも優しく微笑んでくれる朔が…
お父さんに対しては、冷たい目線を放っていて。
見たこともない朔の表情に、私の方がビクッとしてしまう。
「お前はわからずやだな…」
頭を抱えながらそう呟いたお父さんに対し…
朔が、朔とは思えないほど冷酷なセリフを放った。
「母さんを見殺しにしたあんたに言われたくねえよ。帰ってくれ。」
…見殺し?