みだらな天使
対峙
お父さんが訪ねてきた日から一週間後。
朔は、私と七海さんを連れて、お父さんの会社に向かった。
七海さんも、お父さんに対して思うことは色々とあるみたいで…
「…私は今更あの人に伝えたいことなんかないから。」
いつもの天真爛漫な七海さんとはかけ離れた雰囲気だった。
「それでいいさ。でもきっと、あの人を目の前にしたら、自然と言葉が口をついて出てくるよ。」
「ないない。会話するだけ無駄だと思ってるから、私。」
車中に漂う異様な雰囲気。
七海さんは、たまたま好きになった龍さんが、とある会社の御曹司だったから、結婚に関して止められたりしなかったようだけど…
やっぱりお母さんのことで、お父さんとの距離が開いているようだ。
「…着いたぞ、七海。」
「別に、朔に着いていくだけだから!」
渋々といった感じで会社に入る七海さん。
そこには…
「岩塚様、お待ちしておりました。」
秘書の人が待ち構えていた。