みだらな天使
「なんでもっと早くに真実を話してくれなかったんだよ!俺たち…親子じゃないのかよ…!」
朔の口から“親子”という言葉が飛び出した途端…
お父さんの目から涙が溢れた。
「……お父さん!」
七海さんがお父さんに駆け寄る。
そんな光景を見て、少しだけ羨ましいと思ってしまった。
お父さんは離れてても、ずっとずっと家族を大事に思っていたんだ。
私のことを捨てた母親とは違う。
私は母親に会って言いたいこと言ったけど…
仲良し親子に戻ることは、もうない。
戻るつもりもないし、やっぱり許せないことだから。
だけど朔と七海さんとお父さんは、親子の時間を取り戻したんだ。
そんな3人が、とっても眩しく映った。
いつか私も、こんな暖かい家族を作ることができるかな。
きっと、朔となら…
笑顔の絶えない毎日を過ごせるのかな。
3人の姿を見ながら、そんなことを考えていた。