みだらな天使
「は…?何言って…」
「誰からも愛されなかったと思うなら、これからいっぱい愛されればいい。俺が奏を愛してやるよ。だから奏も、俺のために生きてみない?」
よくわかんない。
よくわかんないのに、なぜだか涙が溢れた。
「…あんたなんかキライ」
「あんたじゃなくて、朔。」
「さ、朔なんか…」
再びぎゅっと抱きしめられた。
どうしてだろ。
朔の胸の中は居心地がいい。
こんなうさんくさい男、ニガテなのに。
「奏、もっと自分を大事にしろ。今日からは、自分の為に、俺の為に生きろ。そしたら世界は全く変わって見えるから。」
こんな説教じみた男、ニガテなのに。
「さ、カレー食べよっ。奏が俺の為に作ってくれたからな!」
この男の笑顔に安心している自分が、どこかにいた。