みだらな天使
ルール
「学校、行ってないの?」
朔の家に転がり込んでから、一週間が経った。
「…なんで?」
「なんでって、一日中家の中にいてメシ作ってるじゃん。」
それはあんたがそうさせてるんでしょ、と言いたいのをぐっと堪える。
「今、夏休みだけど。」
「ああ、そっか。いやー、社会人になるとダメだな〜。長期の休みがあることなんて、忘れちゃうな。」
あれから朔は毎日朝早く出勤し、夜遅めに帰ってくる。
ご飯を用意して待ってるなんて…この男の言った通りのことをしている私だけど…
本当に疲れた顔をして帰ってくるから、そのタイミングで出来立てのご飯を出してあげたい…なんて、ガラにもなく思っている自分に驚いていた。
そんな朔も、今日は久しぶりの休日らしい。
「どっか行く?」
そんな提案をしてくれた朔だけど、私は首を横に振った。
何故なら、やっとゆっくり二人で過ごせるのだから。
そんな風に思っていた。