みだらな天使
「続き…したい?」
キスだけで意識を手放しかけた私の耳に、とんでもない一言が入ってきて我にかえる。
続きって…そういう…?
「ちょっと。身体売るなって言ったの、朔でしょ?」
「言ったよ?でも俺は、奏にお金払わないし。合意の上でしかしないよ。」
合意の上…ね。
「じゃあ…ヤダ」
だって、最後までしたら…
この時間が終わってしまうような気がして。
今はまだ、独りになりたくない。
俯いたまま沈黙の時間が流れる。
すると、頭上からはあっとため息が聞こえた。
「…だったらこの手、やめてくんない?こういうの、結構煽られるんですけど。」
そう言って朔が指差していたのは、朔のシャツをぎゅっと掴んでいる私の手だった。
「ごめっ…」
パッとシャツから手を離す。
顔がカアっと熱くなる。
こんなことしたの、初めてで。
自分で自分をコントロールできなくなっているのは、弱い私のせい?
それとも、無駄に色気を出してくるこの男のせい?